生活#19
18時上がり。帰り道に通る焼肉屋の看板の前でギャルたちが、食べ放題にしちゃうか〜、と悩んでいた。食べ放題にしちゃえよ。
ギャルにもきっと悲しいことや嬉しいことがあって、もちろんカワイイオキニのアイテムがあって、焼肉も食べ放題にしちゃいたい。ここまでは一応人類みな同じだからみんなもギャルになれる。すぐ駅が見える。
○○放題ってワガママを受け入れてくれる感がいいよね。食べ放題に飲み放題、歌いたい放題、騒ぎたい放題。そういえば、大学生の頃、キャッチのお兄さんに話しかけられた時に、飲み放題だと思って詳しく話を聞いたら揉み放題だったことあったな。両手で鷲掴みのジェスチャーをするお兄さんを見て、やりたい放題だな、と思った。あぶない。
改札を抜ける。PASMO。下北にはいいなあと思う人がたくさんいる。ただでさえ少ない友達が、こんなとこにいるはずもないのに、キョロキョロと探してしまう。友達が欲しい山崎まさよし。鬼に金棒。猫背に挙動不審。まさよしにセロリ。野菜をきちんと取りたい。曜日感覚を取り戻せ。健康的で文化的で最低限度よりも、もうちょっと充実していたい。快速急行に間に合っても間に合わなくても電車に乗る。
自分で掘り起こした過去の自己嫌悪に押し潰されてしまいそうな日に限って雨が降ったりする。傘を持っているとそれだけで片手が不自由になるから、予定がある日の雨が好きじゃない。履き潰したスニーカーは踵から浸水するし、前髪は湿気にヤられる。休みの日の雨は好きだよ。外に出ない理由を作ってくれるし、家の外が全部水になったような想像をしながら寝るのが楽しい。横になりたい。横になるという表現はデフォが縦で二足歩行の人間にしか無いものだと思う。インドアすぎる。日光を浴びろもっと。最寄駅北口。信号を待つ。青。
19歳の自分が嫌いだから戻りたくは無いけど、ずっと19歳でいたいと思ってた。でかい犬をさわりたいし、休みの日はもう少し外に出たい。コインランドリーの匂いが好き。古本の匂いも好き。散らかった部屋は片付けなきゃなと思いつつも落ち着く。季節の変わり目は寂しい。ツイートするまでも無いようなどうしようもない感情を連ねて文章と呼ぶには少し無理がある。来年の夏こそは海に行きたい。焼肉はいつだって食べたいと思う。もうすぐ家に着く。
